ヤマナミ麺芸社

少子化により、どの企業も採用活動に熱を上げている。「採用」という言葉は、頭を悩ませるワードであろう。今回は、この採用に関して「高校生採用の自社ノウハウの確立」と「人事担当だけでなく、若手や現場を交えて全体で取り組む流れの構築」を行なっている企業、【ヤマナミ麺芸社】にこれまでの8ヶ月を振り返ってもらった。

インタビューに答えてくれた方々

飲食事業部マネージャー

兼採用担当責任者・・・松本さん

採用プロジェクト参加社員、

入社二年目・・・高村さん

高卒採用の理由

ヤマナミ麺芸社は、これまで大学生の採用を中心に行なっていた。なぜ、高校生の採用に力を入れはじめたのか。独立希望の社員も多い中で、しっかりと直営店を守り、未来の会社を担っていく幹部候補を育てたいという思いが根底にある。それを考えたとき、現在の社員の姿を振り返ると、在籍する社員のなかで、高卒入社の方が頑張っており、長く続いている。それは、高校生のもつ素直さからくるものではないかと考えている。育成の時間は確かにかかるが、伸びしろの大きな高校生の採用に今後、力を入れることに決めた。

しかし、高校生の採用に舵を切るも、なかなかうまくはいかなかった。高校生の採用に関するノウハウが確立しておらず、一貫した採用フローがなかったため、行き当たりばったりの活動になっていたのだ。そのため、採用の実績というものもなかなか上がらなかった。

今回、そのノウハウを確立しつつ、若手・現場と一緒にその採用フローの構築を行うことを目的として、「感動型ジュニアインターンシップ」の導入などを含め、8ヶ月間取り組んできた。今年度はその結果、高校生3名、大学生4名の採用に成功した。

社員の隠れた個性の発揮

この「感動型ジュニアインターンシップ」の運営を任されたのは、高卒で入社した入社2年目の若手2名である。任された当時は、「高校生と変わらない自分達が任されて大丈夫かな?」と不安があったという。しかし、やってみないとわからないと考え、やることを決意した。

今回取り組みを開始した感動体験型インターンシップは、このインタビューの時点で2回実施されていた。若手のみで行なった2回目を振り返って、人事担当責任者の松本さんは、自分たちマネージャー層が携わった1回目と比べて、若手社員のみで行なった2回目の方が生徒の表情が良かったと振り返る。あえて、入社2年目、3年目の社員をアサインすることによって、感動体験型インターンシッププログラムの内容もよくなり、社員自身の「成長」を促すことができた。また、会社の魅力なども再確認できたのではないかと述べる。

共に、感動体験型インターンシップ事業を行い、近くで見ていた社員の意外な一面を見ることができたという。普段は、会社でも一番年下ということで、頼ってくるイメージであった若手も感動体験型インターンシップ運営では、積極的にリーダーシップを取ることができていた。その理由をたずねると、学生時代にもリーダー経験が多くあったようであり、感動体験型インターンシップの中心となって運営を行うことで、その個性が発揮されたのである。このように普段の職場では見ることのできない、社員の個性や可能性を発揮する場にもなった。

また、他の社員でも、いままで人前で話すことがなく、苦手であったが、感動体験型インターンシップの運営に携わったことで人前で話すことができるようになったという経験もあった。ここでの経験が、日頃の業務にもよい影響を与えているそうだ。

採用担当責任者の松本さんは、若手と現場を巻き込んだ結果、「それぞれの社員本人達が思うよりも成長しており、行動も変わってきた」と嬉しそうに話す。

感動体験型インターンシップの運営は、若手だけではなく、製麺所など現場の社員達も巻き込んだ。これは、会社にとって、非常に良かった。会社の歴史を知っている人であったり、表面上ではなかなか見えないところで活躍している人たちであったりに関わってもらうことで、彼らの大変さや、それぞれの役割の大切さを実感することができた。

インターンシッププログラム実施中に、製麺所のメンバーがこのようなことを伝えてくれたという。

「たかがダンボール、されどダンボール」

各店舗に麺を発送する際に使用するダンボールが無いと、発送はできない。ダンボールは、あって当たり前であるが、決して軽んじてはいけない大事な存在であることを示す言葉である。感動体験型インターンに参加した学生だけでなく、社員自身も、これを聞いて、ハッと気付かされた出来事であったと語ってくれた。

新卒採用が次の時代の成功の鍵を握る

採用担当である、松本さんは、新卒採用が会社の成功の鍵を握ると語る。飲食業界は、採用が難しいといわれている業界だという。その中で、人材不足の時代が絶対にくる。そのようになったときにしっかり会社として生き残れるようにという思いが、大前提である。

また、AIの搭載やロボットが代替していくなど、IT化が進んでいくのは、間違いないが、その中でもやっぱり人にしかできないことがあると強くいう。会社として成長していくためには、新卒採用の成功が不可欠なのである。機械などのハードとは違って、簡単に入れ替えできない。人の場合は、足りなくなったらすぐ採用などということは難しい。特に自分たちと一緒に働く「仲間」の採用を軽んじることはできない。

8ヶ月の取り組みを終えて、多くの学びを共有してくれた。行き当たりばったり、ノリと勢いだけでは限界があるのだっていうのが分かり、それぞれの取り組みを活かすためにも、年間のスケジュールであったり、長期的なスケジュールであったりを組むというような、先を見越した仕組みづくりの重要性に気づいたという。また、今回の取り組みにより、形を残していくことで引き継ぎやすくなる。これまでは、自分だけが一人でやっていたことを、今回若手や現場を巻き込見ながらやったことで、彼らの成長ももちろん、これからの引き継ぎに対しても手応えを感じている。

これを、2、3年続けて積み重ねていくことで、パーンっとよくなる時がくるだろう、 いや、やります!とわくわくした様子で話す、松本さんが印象的であった。

次年度採用に向けての「ヤマナミ麺芸社」の挑戦は、もう始まっている。