社員の謀反が3度も

価値観経営が生まれるまでの失敗の数々…インタビュー形式で過去の失敗を振り返る

社員の謀反という大事件から、価値観経営が何故生まれたのか?

目次

  1. マネジメント1つ目の失敗 「教えても教えても・・・」
  2. マネジメント2つ目の失敗 「謀反勃発!」
  3. 社長vs社員 「最終的に私は鬱になってしまった…」
  4. 誰もいなくなって気がついた、採用と教育の本質
  5. 社長自身が理念と価値観だけを実施する、それが社風や業務フローまで変えていく
  6. 理念経営から価値観経営への進化

マネジメント1つ目の失敗 「教えても教えても・・・」

Q>採用と教育は、会社の歴史とともにどういった形になっていきましたか?

創業当初は、とにかくお金がなかったんです。お金を使うことに恐怖があったので、当然ながら求人で提示する給与も安く、そんな条件でも働いてくれる人が採用の基本でした。それでも、教育さえしっかり行っていけば人は成長し、人の成長に応じて会社も伸びていくと信じたかった。とにかく、事細かくいろんな指示を出し、無理にでも勉強をさせるようにしました。


Q>それで社員は成長しましたか?

成長しました。お客様や協力会社さんから「◯◯さんは、すごく成長したよね!」などの事を言っていただけるようになっていきました。


Q>では、成功だったのですね?

いいえ、それが実は大きな勘違いだったのです。「育ってきたな〜」と思っていた社員が大きな問題を起こしたり、退職したりといったことが続きました。実際、育ったなと思っていたのは私だけで、本人にしてみたら、私の教育方針はしんどかったんだそうです。辞めるときに捨て台詞を吐かれたりもしました。

教育は、何度も同じことを繰り返して教える。成長したら本人も嬉しいものなのだと勝手に思っていました。でも、本人の参画意識のない成長は、苦痛だったんですね。


マネジメント2つ目の失敗 「謀反勃発!」

すっかり教育に疲れた私が次に行ったのは、スキルのある人、社会人としての経験がある人を採用するということでした。一度は教育に疲れ果てて、組織をぐっと小さくした私でしたが、社員が幸せになる会社という想いを捨てきれず、もう一度採用と組織づくりに注力することにしました。


Q>スキルを重視した採用は、うまくいきましたか?

これが、後々大きな問題を引き起こすことになります。中小企業の社長と中途採用についての話をしていると、最終的には「あの人はこんなことができるので採用した。」とか、「こういう経験を持っている人が今、必要だ。」などの言葉が良く出てきます。私も最初、スキル重視の考えだったので、よくわかります。やはりスキルを持っている人(持っているようにみえる人)を採用することが、経営において早道に見えるものです。そして、その根本は経営者である私が楽をするという逃げだったのかもしれません。

結果、それをすることで極端な失敗として問題化してしまったのです。


Q>どういう問題が起こったのですか?

会社の向かっている方向、社長の判断にことごとく反対する抵抗勢力が生まれました。最初は、新しく入った社員が文句を言ったり、反抗的な態度を取ったりから始まりました。そして、段々行為がエスカレートし、徐々に全社員にその雰囲気が広がっていきました。

「社長を追い出して、会社を乗っ取ってしまえば自分たちが丸儲けじゃないか!」と先導する者が現れ、その方法を集まって話しあったり、実際に取引先などに乗っ取りの話に協力しないか?と持ちかけたりもし始めました。

会社に行けば、睨みつけてきたり、私が何か発言や判断をしてもそれを全て否定してきました。何をやるにも邪魔をされ、私はどんどん精神的に病んでいきました。謀反はもはや成功寸前といったところでした。


社長vs社員 「最終的に私は鬱になってしまった…」

社員からの突き上げが日々激しくなる中で、同時に売上が下がったことも重なりました。売上に対しても手を打たなければならない切迫した状況と、社員からの突き上げと、誰も協力者が居ない社内と…どんどん気力をなくしていくのを自分でも感じていました。

一部の社員が意図的に私を追い込もうとしていたのは、感じていました。しかし、もはやそれを解決するための精神的な余力は残っておらず、状況はどんどん悪化していき、うつ病のようになってしまいました。会社に行くのも嫌で嫌でしょうがなかったですが、完全に折れてしまわなかったのは、それまでに多くの問題を乗り越えてきたという過去の経験が支えになっていただけでした。

会社では「社長vs社員」この構造が完全に出来上がりつつありました。


Q>どうやってそこから持ち直したのですか?

気力が底を尽きかけていた私に追い打ちをかけようとしたのか、謀反の先導者の一人が私に直接的な暴力を加えてきました。これはさすがに行き過ぎでした。法律的にも問題として第三者の知るところとなり、事が大きくなりそうになりました。逮捕や裁判、そこまで行く寸前で謀反の先導者の一人が早々に退職します。それによって中途半端になった会社の雰囲気。もはや、会社にも社長の私にも、未来は見いだせないと思ったのでしょうか、残った他の社員もそれからすぐに辞表を出してきました。


誰もいなくなって気がついた、採用と教育の本質

Q>社長一人が残ったのですか?

当時、私以外に本社に勤務していたのは6人。その全員退職しました。一人で出先の営業所に勤務していた社員だけが残ってくれたので、社長と社員一人という二人しか人が居ない会社になってしまいました。


Q>業務縮小したのですか?

会社は、お客様に価値を提供している存在です。社内の事情でお客様に不便をお掛けすることは極力避けたかったので、業務の縮小は考えませんでした。そして、新たに雇用をやり直し、新たな組織を作っていこうと思いました。「会社は理念経営をしなければいけないよ。」と、先輩経営者に言われてきた事を思い出し、ワラにもすがる想いで取り組むことを決めました。


Q>2度の失敗を経験して採用はどう変わっていきましたか?

理念に基づいた経営をするために、望む会社の未来像を明確化し、採用のプロセス、社員教育の仕組みづくりをしっかりやろうと考えました。そのために必要な費用や期間なども割り出し、それに向かって1年半をかけて試行錯誤を繰り返しました。最初の1年は、計画通りには行かないもので、ほとんどの取り組みが失敗でした。

最初の1年間で、パート1名、正社員を5名採用しましたが、パートの1名を除いて3ヶ月以内で退職してしまいました。もちろん、以前の退職とは異なる形のものでしたが、それでも思い描いた採用や社内教育がうまく実施できなかったことが原因と言えます。

あまりにも教えては辞め、教えては辞めが続いたので、残っていた社員に「採用ではなく、このまま社長と二人で仕事をやった方が良いのでは?」と、弱音を吐かせてしまったこともあります。ただ、それでも着実に良い人財を採用できつつあり、会社も少しずつ変わっていっている実感はありました。経営理念を基にした会社のあり方が確立されつつあり、その理念と会社のあり方に共感をしてくれる社員が徐々に集まり始めます。(正確には、私がかってにそう勘違いしていたのですが…)

多くの面接をしてきましたが、面接で人を見抜く目などというものは、幻想のスキルなのではないかな?と、少なくとも私は、今では思っています。なので、面接はもっと理にかなった形で行う形に変えていきました。


社長自身が理念と価値観だけを実施する、それが社風や業務フローまで変えていく

Q>どの様な育成をしたのですか?

まず、「会社は社員が幸せになるための自己実現の場」という言葉を壊れたテープレコーダーの様に連呼しました。そして、ミスや判断の違いが起こったり、クレームをお客様から頂いた時も行動を攻めたり、修正しようとするのではなく、理念、行動指針、仕事観といった朝礼で唱和していることを元に行動したのか?判断したのか?を互いに話し合うようにしました。


Q>それはどの様な結果になりましたか?

そもそも、毎朝唱和するということは、できていないからこそ、そこに向かっているんだという共通認識で、誤りを正すのではなく、次へ向けた肯定的な話し合いが行われ、私自身も社員からフィードバックをもらうことも増え、どんどん主体的に社員が行動できるようになっていきました。

実は、主体的な社員と主体的ではない社員が居るのではなく、本来全員主体的で、自分の考えを出して良いという許可が与えられる雰囲気、環境なのかどうか?が大事だったんだと気付きました。

自分の考えを出すことが、自分にとってデメリットになるなら、人は安全策、沈黙、言われたことだけをやるという無難な選択をするものです。どんどん、自分の考えを出し、行動することがメリットになるなら、人はどんどん自分らしく輝き始めます。それを間近で見せてもらって、これは確信になりました。


理念経営から価値観経営への進化

理念経営からスタートした取り組みでしたが、ある日私達が最も大切にしているのは、社長、社員の区別なく、全員が認識している会社の価値観が根底に流れていることに気が付きました。

経営理念は、理念を作った人間の意図が反映される経営です。誰かの特定人物の意図が色濃く反映される組織形態は、「集った人々の人生が輝くための場を会社にする」という私達がいつの頃からか、明確な文章化はされていなくても、主として心に大切に持っている想いとずれています。

私たちは様々な経験から、会社という器に集まったメンバーの個々の個性、個人的な人生観を大切にし、その個性が統合されたものが、会社の実情であるということがわかりました。

一番大事なことは、個人が「自分の人生を輝かすための日々を送ること」そのためには、どんな人生観に基づいた意思決定をするのか?を年に3回ほどワーク形式で考える時間を作りました。(参照:人生の出口研修)

個人の人生の価値観が熟成していく場が会社となったことで、会社に集うメンバーが大事にしたい会社としての価値観の見直しを半年に一回行い、明文化します。また、価値観から反映される組織の意識を見える化するワークも作りました。(7バリュー研修)

こういった話し合いから、経営理念も徐々に書き換えられています。もちろん、価値観も集うメンバーの成長に合わせてどんどん表現が変わっていっています。だからせれくとでは、理念経営から進化した価値観経営を行っています。


Q>会社の土台が変更されるのですか?

そうですね。

土台である、表面的な表現は、そこに集ったメンバーの認知によって書き換えられますが、それは変化するというわけではありません。日々、自分たちの人生の価値観を上質に定義し、会社という場で表現をする。試行錯誤が日常で、でもその試行錯誤は価値観に沿っているので、新たな気付きや成長によって、価値観自体の表現方法が進化しています。

土台が変わるのではなく、土台が強化されると考えるのが最もしっくりくるかもしれません。


価値観経営メソッドは、組織が強くなるための体質を作るためのメソッドです。

ただ、常識的な経営手法とは違う部分もありイメージしにくいところもあると思います。そこで、価値観経営の日々の現場やそれ実施している社員の働き方などを見学できるように会社見学は積極的に受け入れています(費用も無料です)。

ご興味のある方は、以下のフォームや電話番号から気軽に問い合わせて下さい。年間で相当な数の会社が見学に訪れます。 木元